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自動人形は内観に耽る

たまに小説も書く夢想派社会系ブログです

Chikirinの日記さんの難民関係の連載のおかしなところを逐一指摘してみる 第一回

Chikirinの日記」さんで、難民関係の連載が現在第五回まで投稿されています。

第一回 問題はデータと首相の認識

第二回 びっくり! これが日本の難民認定基準

第三回 難民条約とインドシナ難民

第四回 トルコとミャンマーの違いとは?

第五回 難民ってどーやって日本に来るの?

 

ネットの言説空間では、難民問題について、適切な制度や背景を理解したうえで語られていることが殆ど無く、随分誤っているとすらいえる言説も多く見られ、長年もやもやしていました。

今回のChikirinさんの連載はその典型的なものです。

いい機会ですのでトップブロガーの胸をお借りして、Chikirinさんの連載各一回について、私も一回ずつ投稿していく形式で、泡沫ブログながらも言論空間の適正化を試みたいと思います。

 

今回は連載第一回のちょっとおかしくない?というところを探してみます。

d.hatena.ne.jp

この第一回は、「日本ってなんで難民に冷たいって思われてるの?」「日本ってなんで難民認定数が少ないんだろうね」という問題提起になっており、おかしなところは少ないです。

 

1.あまりに難民の受け入れ数が少ない 

これは事実、その通りです。日本は、難民認定数、認定率ともに滅茶苦茶低いです。

 

2.総理大臣でさえ、難民と移民と外国人労働者の違いがわかってない

 2015年9月30日の安倍首相による記者会見における、難民問題と人口問題、移民問題の混同は失言といっていい内容でした。

 

難民問題は日本ではビッグイシューになることが無いので、まともなレクを受けた政治家が殆どいないでしょうし、そのまともなレクをできる官僚もほとんどいないと思います。

 

また、欧米のポリティカリーコレクトネスを理解していない、国際感覚の欠如も問題です。ただ、安倍首相は、外遊を積極的に行っており、外遊先の選定も戦略的です。例えばトルコですね(これは次回以降への伏線です)

また、国際感覚なんて、私も含め、大概の日本人にはありません。さすがに首相には持っていてもらいたいのですが。

 

余談ですが、諸外国は右手で理念をぶち上げ、左手で現実を払いのけます。

ですから、海外では、難民が自国に到達した場合受け入れなければならないため、入る前に追い返す手法が主流です。

 

例えば、バリケードを築いたり、ロヒンギャボートでやってきたらそのまま海に追い返したり、オーストラリアも日本よりはるかに多く難民を受け入れてますが結構えげつない

EUは、難民受け入れのキャパシティが限界に達しつつあるため、EU加盟やお金を餌にトルコを釣って、トルコに程よく人権を侵害してもらいつつ、一方でアルメニア人虐殺を非難しトルコを挑発してEU加盟交渉を難航させようとしています。

 

要は、安倍首相は本音と建前の内、本音だけ言っちゃったんですね。

そりゃ、非難されるはずなので、その点は同意できます。

 

ただ

安倍首相って前にわざわざイスラエルを訪問して「テロと戦う!」とブチ上げ、
「あっそう?」って言われて日本人の人質がいきなり殺されたりしたという前科まである

これは、なぜかあちこちでよく言われてますが、事実誤認です。

 

まず、支援の約束を表明した場所はイスラエルではなく、エジプトです。

 

原理主義であろうと、政府や機関に対してであろうと、反イスラーム的なものはイスラエルで行われるという思い込みでもあるのでしょうか。

イスラエル国旗の前で安倍首相が会見したことと混同しているのでしょうか。

 

また、安倍首相が約束したのは「テロと戦う国への非軍事的支援」です。

テロと戦うと言っても「fighting against」ではなく、「contending with」と曖昧にし、トルコやレバノンなどの軍事的対処を行っていなくとも、治安の不安定化や難民流入に対処している国への支援を包含しています。

 

支援内容として明らかにしているのは、イラク、シリアの難民・避難民支援、地道な人材開発、インフラ整備です。

 

詳しくは、東大先端研准教授の池内恵先生がblogで身もふたもない解説をしてくれています。

ikeuchisatoshi.com

ぜひ読んでください。専門家スゲー、こんな泡沫ブログ読んでる場合じゃねーやってなると思います。

というわけで次回に続きます。

次回は難民認定基準と、法務省が公表している事例集についてです。